幼保小の架け橋プログラム

先日文部科学省より「幼保小の架け橋プログラム」について教育・保育現場に理解を深めるための動画が公開されました。


「幼保小の架け橋プログラム」・・・聞き慣れない言葉だと思いますが、幼稚園・保育園・認定こども園そして小学校など、子どもの教育・保育に関わる大人が立場を越えて連携し、架け橋期(義務教育開始前後の5歳児から小学校1年生の2年間)にふさわしい学びや生活の基盤を育むことを目指し、中央教育審議会や初等中等教育分科会が中心になって進めているプランです。


こうした取り組みが生まれた背景には、幼稚園・保育園・認定こども園と小学校との教育・保育形態の違いにより、進学時にうまく連結ができないという諸問題があります。これを受けて文部科学省では、令和4年度から3か年程度を念頭に、全国的な架け橋期の教育の充実はかるための実践を推進していくこととしています。具体的には、幼保小の連携を図るために相互の交流や研修の機会を増やし計画的に実践を深めていくことが中心になると思います。


ここで肝心なのは、この取り組みがいわゆる早期教育や小学校教育の前倒しではなく、乳幼児期の遊びを通じた学びの教育的意義や効果を共通認識すること。また、子どもが主体的な遊びの中で試行錯誤し考えたり、先生方の関わりや環境の構成を工夫したりすることにより、「主体的・対話的で深い学び」について学校種や施設類型を越えて理解を深めていくことが重要であるということです。


これに遡ること4年…平成30年度から施行された改訂認定こども園教育・保育要領では「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」の方針が示され、従来以上に0歳児からの教育・保育の積み上げが重視されています。「目標」ではなく「姿」と表記されているのは、これらの項目が成長の方向性を示しており、卒園までに必ず身に付けなければならないということではないことを表しています。
内容を見ますと、まずは健康であり、その上で自分の気持ちをうまくコントロールし、他者とコミュニケーションを取りながら社会と前向きに向き合う心情を子どもたちに育みたいという思いが伺えます。


特にコミュニケーションというのはとても大切なキーワードだと思います。今年に入ってからのロシアによるウクライナ侵攻やつい先日の安倍元首相の事件など、問答無用に一方的な暴力で他人の命を脅かす事態を立て続けに目にするにつけ、何か人間のタガが外れていくのではないかと空恐ろしい気持ちになります。
現代はVUCA(ブーカ)と呼ばれる先行き不透明な時代であると言われますが、これから未来を生きる子どもたちには、これまで築き上げた人間の叡智を引き継ぎながら、知識だけではない「学びのための学び」のスキルを身に付けていって欲しいと思います。

そうした意味で私たち保育者が小学校の先生方へ渡すバトンはとても意味が大きいと思います。

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