遊びを通して期待するもの

早いもので7月も終わりに近づいています。

新年度が始まって4ヶ月…子ども達も生活の中でいろいろな経験を重ね、それぞれに成長が見られます。

今回はこの4ヶ月を振り返って、遊び環境設定のねらいや子ども達の育ちについて、いくつかの項目でまとめてみたいと思います。


【ボディイメージ】

低年齢の子ども達は、自分の体の部位や体のサイズ感などの身体イメージがまだまだ未分化です。ボディイメージは言わば「カラダの地図」みたいなもので、これが十分に育たないと、頭や体を物にぶつけたり、つまずいたりと体を器用に動かすことが難しくなります。ボディイメージが身に付くのは、個人差ありますが概ね3~4歳半ごろと言われています。

例えば保育室のコーナーには、子ども達が大好きな「買い物ごっこ」のために、赤ちゃんに見立てたぬいぐるみや買い物バッグの他に、頭巾なども用意しています。

肘にバッグを下げたり、ぬいぐるみを背負ったり、頭に頭巾をかぶるなど、体に物を接触させる状況を多く作ることで、子ども達のボディイメージを育てるねらいもあります。

本園の子育て支援「なかまっこクラブ」で時々講師の吉武先生をお呼びして「ボディーマッサージ」を取り入れているのは、体を刺激することで赤ちゃんのボディーイメージの獲得を促進したいという願いもあります。

またこの他にも、体のサイズ感を体感できるような遊びとして「トンネルくぐり」などの遊びも取り入れています。


【粗大運動】

バランスを保ちながら姿勢を維持したり、全身を使って歩いたり走ったりジャンプしたりするような運動を粗大運動といいます。

ここに示すのは一例ですが、クラスではウレタンブロックを使って体を動かす活動を取り入れています。

段差を作ったり、角度を付けてスロープにしたり、飛び石状にしたりと、成長に応じて難易度も変えて挑戦しています。


【微細運動】

体を大きく動かす粗大運動に対して、手指を使った細かく精密な動作を必要とするものを微細運動といいます。多くの動物に備わっている粗大運動に対して、微細運動はヒトや類人猿等に特有の運動と言われています。

(物を出したり入れたりする遊び)

この時期の子ども達はティッシュを出したり、物を散らかしたりと、一見イタズラに見える行動が大好きです。しかし、そうした行動の中で素材の感触を味わったり、素材と入れ物など、お互いの関係性を学んだりもします。

同時に、集中して遊ぶ中で細やかな手指の発達を促し、物事の関係性や仕組みについての理解を深め、思考力や記憶力を育みます。また、手指の動きと腕や肩の動きも協調させて遊ぶこともできるようになります。

(物を積んだり並べたりする遊び)

目と手の協応が進み手指を器用に扱えるようになると同時に腕や肩も協調させて遊べるようになり、もっと難易度の高い遊びに挑戦しようとします。座ったまま、あるいは高さに応じて立ったまま、バランスをとりながら、慎重に物を積んで遊ぶ姿が見られます。

また、子ども達は色板を並べる遊びも大好きです。一定の方向に向かって「並べる」という行為が、「規則性」ということへの興味や理解を深め、その色合いは彼らの美的感覚を刺激するのかも知れませんね。

またカラーブロックで遊ぶ中では、より立体的に並べたり積み上げたり、色合いを考えたりしながら熱中する姿も見られます。


以上、子ども達の遊び環境の設定とそのねらいについて、いくつかの視点に絞ってまとめてみました。ここで挙げた総合的なスキルが、遊びの中で育っていけば、そのスキルが将来は体を上手に使って運動したり、字や絵をかいたり、箸を使ったりと手指を器用に扱える能力へと繋がるのではないかと思います。

掲載されている内容に関する情報は、記事の掲載日現在の情報です。
その後、予告なしに変更となる場合がございます事をあらかじめご了承ください。