目と体のネットワーク

今日で11月も終わり、今年もあと一ヶ月を残すのみとなりました。年が明けると、子ども達もいよいよ進級・卒園と次のステージへのカウントダウンが始まります。

新しいステージを迎える子ども達に培って欲しいスキルに関して、前回は「非認知能力」ということに視点を当てて説明しましたが、今回はまた別の視点でお話ししたいと思います。

「目と手の協応」という言葉を聞かれたことがあるでしょうか?

五感には、視覚、聴覚、嗅覚、味覚、触覚があり、こうした感覚を通して私たちは外界のいろいろな情報を得ていますが、中でも視覚はこうした情報収集において大きな割合を占めているそうです。

追視が始まり、赤ちゃんがある程度自由に体を動かせるようになると、周囲に動いている物や音の出る物などを目で追い、手を伸ばしてつかもうとします。

手は「第二の脳」とも呼ばれ、視覚情報をもとに手指を使うことで、脳が刺激され、盛んに外部の情報を得ようと活性化されるそうです。

特に子ども達が成長していく中で、手指を使って物を操作する経験を重ねることで、脳も活発に働き、思考力や記憶力の育成につながるとも言われています。

また、目から入ってきた情報は、手に限らず体を動かすこととも深く関連しています。これらの視覚情報は、物の位置、速度、方向などを認識し、それに応じて適切に体を動かす運動機能の育成に役立ちます。アスリートの世界でよく話題にされる「ビジョントレーニング」のように、「目と手」「目と体」を連動させることは、運動神経を育んだり、学習したりすることにおいても、重要なスキルだと言われます。

現在、以上児クラスでは体操教室を実施していますが、ここで目指す運動スキルの向上は、今まで書いてきたような視覚・運動機能の発達の上に成り立っています。

例えばボール競技において、「ボールを投げる・キャッチする・避ける・蹴る」などの行動は、前記した目と手、目と体の協応動作の機能が不十分だと上手くいきません。

「体操教室で習っているから運動が上手くなる」…そう単純なことでもないようです。

また、そのことで子ども達が運動嫌いになることは避けたいという思いもあり、年少の頃より目と手や体の協応動作を  遊びながら育めるようなオモチャや活動を積極的に取り入れています。

子ども達が触れて遊ぶオモチャは、その色合い、質感、年齢に応じた操作性等を考慮して選定しており、遊びながら「指先の器用さ」や「目と手の協応動作」が養える知育玩具を採用しています。

もっと小さな子ども達の段階では、以下のように乳児でも扱えるオモチャを用意しています。

【ベビージム ムジーナ】

赤ちゃんが「物に触ろうとする意欲」を高めてくれる ドイツ製のオモチャです。吊り下げられた木のオモチャを手ではたいたり、握ったりと、指先や手に直接物が触れることで、五感を刺激して、脳の発達を促す働きを補う効果が期待できます。

【ニックスロープ】

スロープの上から人形や玉、円盤などを転がすと、最初はゆっくりと…徐々に回転が早くなって下まで降りていくオモチャです。転がす円盤には「心理4原色」と呼ばれる、人間がもっとも見分けやすい色が使われており、転がる様子を目で追いながら遊びに没頭します。

【クルクルチャイム】

上からボールを入れると筒をクルクル回りながら降りてきて下の口から出てきます。カラフルなボールを目で追うことができるので追視のスキルを培うことができるオモチャです。

この他にも、子ども達がじっくりと手元を見て、集中して遊べるような手作りオモチャのアイディアも職員同士で出し合って製作しています。

子ども達が興味を持って没頭できる遊びを通して、やり遂げたときの達成感を十分に体験できるよう、これからも生活や遊びの環境を整えていきたいと思います。

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