子どもの視点で考える👶

本日の熊本日日新聞の「くらし Life」のコーナーに『「子どもの視点」カフェで体験~子育て中の親 感覚と行動理解~』と題して記事が載っていました。

記事は4年前、東京に立ち上げられた「ITOCHU SDGs STUDIO こどもの視点カフェ」での活動を中心に紹介されています。

カフェをプロデュースした「こどもの視点ラボ」代表の石田文子さんは、自身の子育て経験において、赤ちゃんの夜泣きやぐずりに悩まされてイライラの毎日、その時初めて『「この感情は、自分とは関係ないと思っていた虐待と地続きだ」と感じた』そうです。

そうした体験を通して、「小さな子ども達が体感している世界はどのようなものなのか?」…子ども目線で研究し心情を理解することで、親が子どもに無理なことを強要したり感情的になることを少しでも減らせるではないかという思いで、同僚と共にこのカフェを立ち上げられたそうです。

小さな子どもの体感としては、周囲の大人たちは身長4㍍級の巨大生物に見えるそうです。

保育中はむやみに立たない、目線は出来るだけ子どもの目線に近い距離感で接するなど、我々が保育中にそうした「子ども目線」を意識するのはこのためです。

子ども目線と言えば、このカフェには縦45㌢の「ベイビーヘッド」という被り物が展示されています。

赤ちゃんの頭の大きさと重さを大人の感覚で実体験できるもので、新生児の頭は重さが体重の約30%、大きさが身長の約4分の1とされ、例えば身長180㌢、体重70キロの成人男性に換算すると、重さは約21キロで6歳児の平均体重に匹敵するそうです。

また、2歳児の体のスケールに合わせたお皿やコップなどの模型が展示されており、その大きさを体験できます。子ども達の手の感覚では「1㍑の牛乳パック(高さ23.5㌢)も、2歳児の手の感覚では高さ43㌢ほどに」なり、想像以上に大きく感じられ、扱うのが大変だとのことです。

その他に、ラボでは人の声を赤ちゃんの泣き声に変換する「ベイビーボイス」という装置も開発されたそうです。口元に装着した装置を介して話すと、何を話しても相手には泣き声にしか聞こえません。まだ言葉も獲得しておらず、自分の気持ちを他人に伝える術がない子ども達のもどかしさを実感することが出来るユニークな装置です。

大人になった我々は忘れてしまったけれども、小さな赤ちゃんにだって「心」があり、その「声」を受け入れてもらいたい感情はあるはずです。大人の対応ひとつで、子ども達の感じ方や気持ちの受け止め方も変わってくると思います。

例えば、大人からいきなり手を引っぱられたり抱き上げられたりすると、小さな子ども達はびっくりして、その恐怖心や警戒感から、その人と距離を置くようになるかも知れません。

そうならないように、私たち保育者は日頃より、抱っこする前には「抱っこするよ、いい?」とか、手を引っぱる時にも「今からあっちに行こうか、手を引っぱっていい?」などと事前に丁寧な言葉かけをするように心掛けています。それが信頼や愛着関係を築く第一歩だと思いますし、言葉を介することで言語的な発達にも効果があると考えています。

今回紹介された「こどもの視点カフェ」の記事は、「大人用に作られた世の中で子どもは暮らしている」という認識を念頭において、子ども目線に立って子ども達と接することの大切さを改めて教えてくれているように感じました。

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