前回は、当園での教育・保育の理念や方針についてお伝えしましたが、今回は当園の行事の考え方についてお伝えしたいと思います。
当園では、行事を子どもたちの日々の生活や成長を自然に反映する場として位置づけています。
そのため、行事の準備や練習が日常生活の流れを中断するようなことがないように配慮し、子どもたちが日々の遊びや活動の中で興味を持ち、成長を感じられるような内容を重視しています。
そして、このような有意義な時間を十分に保障するため、当園では行事の精選を行っています。
行事が多すぎると、準備や練習に時間が取られ、子どもたちと保育者が向き合う時間が減少してしまう可能性があるからです。
そこで、当園では行事の数を必要最小限に絞り込み、一つひとつの行事を丁寧に運営することを心がけています。
また、行事の基本的な考え方としては、以下の視点を重視しております。
①生活の延長線上にある行事
行事は子どもたちの日常生活や遊びの延長線上に位置づけています。
行事が特別な「一日限りのイベント」ではなく、日々の積み重ねの中で生まれる学びや成長を発表し、共有する場であることを大切にしています。
これにより、子どもたちは「見せるため」の活動ではなく、自分たちが楽しいと感じることを自然な形で表現する機会を得ることができます。
②主体性の尊重
子どもたち自身が主体的に参加できるように、行事の計画や準備の段階から子どもたちの声を取り入れています。
例えば、発表会では「どのようなことをみんなに見てもらいたいか」「どんな遊びが楽しかったか」といった子どもたちの意見をもとに内容を決定します。
これにより、行事が大人のためのものではなく、子どもたち自身が楽しみ、達成感を得られるものとなります。
③練習より過程を大切に
一般的な行事の中には、完成度を重視して繰り返し練習を行うものもありますが、当園では練習自体を目的とすることはありません。
むしろ、日々の遊びや活動を通して自然に身についた力や興味・関心が発揮される場を提供することを重視しています。
これにより、子どもたちは行事に向けて無理に負担を感じることなく、自分たちの力を発揮できます。
④保護者と子どもの共同体験の場としての行事
行事は単に子どもたちの成果を発表する場ではなく、保護者の皆様が子どもたちの成長を間近に感じ、共に喜び合う場でもあります。
また、行事を通じて保護者同士の交流や、子どもたちとの関わり方についての気づきを得る機会としても活用いただけるようにしています。
以上の通り、当園の行事の精選という方針の背景には、子どもたちの健やかな成長を最優先に考える私たちの姿勢があります。
その上で、子ども自身がやりたい内容を自ら探し、行動することを尊重しながら、自分達で作り上げる行事を目指しております。
そのため大人の眼からは、行事の準備や進行が簡素なものに感じられる場合もあるかもしれませんが、それは子どもたちの日常生活体験や成長を最大限に尊重している証とご理解いただければ幸いです。
保育者が子どもたちとじっくり向き合う時間を確保することで、園全体の保育の質を高め、子どもたち一人ひとりがのびのびと自分らしく成長していける環境を整えてまいります。
保護者の皆様には、こうした方針にご理解とご協力をいただきますよう、改めまして心よりお願い申し上げます。