📚絵本がひらく、子どもの世界 ~読み聞かせの時間に育っているもの~

朝の空気に秋の気配が感じられる頃となりました。

通勤途中の田んぼに目を向けると、ついこの前まで青々としていた稲穂が朝の光を浴びて黄金色に輝く情景が心地よく感じられる今日この頃です。

さて、秋といえば「食欲の秋」「スポーツの秋」・・・いろいろとありますが、今日のお題は「読書の秋」です。

🍁 🍂 🌰 🍁 🍂 🌰 🍁 🍂

保護者の皆様には、日頃より当園の絵本貸出コーナーをご活用いただきありがとうございます。

前園長は絵本が子どもの成長に与える影響をとりわけ重視しておりました。

「絵本を読むことは新たな知識や言葉に触れる機会が得られるだけでなく、そこに描かれた物語は子どもの世界をどんどん広げ感性を豊かにし、知的好奇心を引き出してくれる効果もある。」

と口にしていたことが思い出されます。

さて、かくいう私自身も 子どもたちの生活を見ていると、絵本には不思議な力があるなあと感じることがあります。

保育者が一冊の絵本を手にすると、さっきまで元気に遊んでいた子どもたちが自然と集まってきます。

もしそれが知っている絵本なら…

「これ知ってる!」「次は〇〇が出てくるよ!」

そんな声も聞こえてきます。

ページがめくられるたびに笑ったり、驚いたり、少し心配そうな表情になったり…

一冊の絵本を囲んでいるだけなのですが、その小さな場所には、子どもたちの想像する世界、感じる心、ことば、そして人とのつながりがいっぱいに広がっています。

絵本を通して子どもたちはたくさんのことばに出会います。

普段の生活ではあまり使わない表現や、美しいことば、面白い音の響きにも触れます。

しかし、絵本の価値は「語彙が増える」ということだけではありません。

例えば…「この子、どうして泣いているんだろう?」

「このあとどうなるのかな?」…などと考える。

これは、絵本の中の出来事を自分の経験と重ねながら、想像し、考え、感じている時間です。

まだ実際には経験したことのない世界にも、絵本なら出会うことができます。

遠い国へ行ったり、宇宙へ飛び出したり、動物と話したり、時には少し怖い世界をのぞいたり…

そうやって子どもたちは、現実の世界を越えて心の中にたくさんの世界をつくっていきます。

また、乳幼児期の読み聞かせは、豊かなことばに触れるだけでなく、認知面・言語面・社会情緒面の発達にも関わるとされています。

特に大人と一緒に読む「共有された読書」の時間そのものが、子どもとの豊かなやり取りにつながることが指摘されています。

「最後まで聞いてくれない」「途中でページをめくってしまう」と心配する必要はありません。

読み聞かせで何より大切なのは、大好きな人と一緒に絵本を楽しむことです。

お父さんやお母さんの声を聞きながら同じ絵を見て、「パンダがいたね」「おいしそうに食べてるね」などと言葉を交わす。

絵本は何かを教えるためだけのものではなく、絵本を真ん中にして、大人と子どもが気持ちを通わせる時間なのだと思います。

子どもは気に入った絵本を何度も読んでもらいたがりますが、同じお話でも、子どもにとっては決して退屈ではありません。

「次はこうなる」と分かることを楽しみ、やがて言葉を覚え、自分で話したり、友だちや家族に伝えたりするようになります。

「分かる」「言える」「伝えられる」という経験は、子どもの自信につながります。

出仲間こども園では、同じ絵本を繰り返し楽しみます。

そして絵本から生まれた「知りたい」「やってみたい」が、友だちとの会話やごっこ遊び、図鑑で調べることなどへ広がっていく姿を大切にしています。

「毎日何冊も読まなければ」「最後まで聞かせなければ」と考えなくても大丈夫です。

忙しい毎日の中で、ほんの数分だけでも、一緒に絵本を選び、笑ったり、驚いたり、お話ししたりするだけで十分です。

大切なのは何冊読んだかではなく、「大好きな人と一緒にこの本を読んだ」という経験です。

いつか絵本の内容を忘れても、お父さんやお母さんの声や膝の温かさ、一緒に笑った記憶は、子どもの心のどこかに残っていくのではないでしょうか。

絵本は、子どもに何かを教えるためだけのものではありません。

~子どもと大人が心を寄せ合うための、小さな橋のようなもの~

園でもご家庭でも、子どもたちがたくさんの絵本と出会い、何より「絵本って楽しいな」と思える経験を重ねていければと思います。📚✨

掲載されている内容に関する情報は、記事の掲載日現在の情報です。
その後、予告なしに変更となる場合がございます事をあらかじめご了承ください。