心身一如(しんしんいちにょ)

コロナ禍で、いろいろと物議を醸した東京オリンピックもいよいよ終盤。いざフタを開けたらメダルラッシュの快進撃!連日テレビから目が離せないのではないでしょうか?

それにしてもアスリート達の身体能力の高さには驚かされます。野球やハンドボールなどでボールを放つ瞬間「選手の目線はどこに向けられているのだろう?」体操で床からジャンプして体が逆さまになっている刹那「彼らはどこを見て、何を頼りとしながら自分の体を操っているのだろう?」などといろいろ考えてしまいます。恐らくそうなるまでには血の滲むような努力の積み重ねがあったということは容易に想像できます。

彼らだって赤ちゃんの頃から特別な能力を身につけていたわけではありません。自分から外界に働きかけ、環境からいろいろな刺激を受け、少しずつ身体能力や認識力を積み上げるという、我々と同じ道すじをたどって成長してきたのだと思います。そう考えると、生まれてからの心身の発達とその神秘性に、改めて興味と想像力をかき立てられます。

 

これはある年長さんが描いた絵です、オリンピックを題材に、いろいろと想像を膨らませて描いた絵なのでしょう、とても緻密に描けています。

見ると紙の下辺を床や地面に見立てて、人物を配しているのが分かります。「自分の下には地面があり、その上に自分がいて、他の人がいて、周りには空気がある」この時期特有な空間認識が反映された表現なのでしょう。それまでカタログのように紙面のあちこちに思い思い好きな物を描き、空間というものを意識しなかった頃とは明らかに質的な変化が伺えます。自分と周囲の物との位置関係を立体的に認識する空間認識能力の芽生えがこの時期には急速に発達するのでしょうね。

一般的に空間認識能力が伸びることによりスポーツや絵画等のクリエーティブな資質が鍛えられ、職業選択の幅が広がるとも言われています。そして空間認識能力の発達は、幼少期からの体の動きや姿勢保持、目と手を協応させた動き等をベースとした認識力や創造力に支えられていると考えられます。

仏教用語に「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉があります。「心が動いて体が動く、体が動くことでまた心も成長する」というように心と体はリンクしているという意味合いです。子どもたちは、環境に対して体を動かすことで心や認識力も成長すると思います。

私たちが乳幼児の段階から、体全体を使った粗大運動や手先を使った微細運動を活動に取り入れているのは、そうした子どもたちの健やかな発達を願ってのことです。

そうした環境を作り出していけるように、私たちも日々勉強の積み重ねを続けているところです。

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