「環境」を考える~音プロジェクト~

皆さんは「環境って何?」と問われたら何とお答えになるでしょうか?

こども園内での子どもたちの置かれた環境を中心に考えると、広くは園庭や園周辺の自然などの「自然環境」や園舎そのもの、遊具やおもちゃなどの「物的環境」。また、教育・保育に当たる保育者の人柄や対応など、子どもの成長に大きな影響を与える「人的環境」などが考えられます。


そして、この度視点を当てたのが「音」環境です。
先日「子どもの集中力が続かない」などといった集団形成の難しさを、児童発達支援事業所「アロット」の療育スーパーバイザーで臨床発達心理士の佐澤智恵子先生にご相談したところ、「原因を最初から子どもに求めるのではなく、まずは音環境を含めた保育室環境の改善から取り組みましょう」とアドバイスをいただきました。これを受けて改めて園内の音環境に耳を傾けると、日頃は慣れで気にしなかったのですが、以上児さんが活動する2階は相当に騒々しく感じられ、それに比べると今年度騒音軽減効果のある材質で天井を改装した1階の未満児室は、とても静かに感じられることに気づきました。


そんな中、以上児クラスでは「音プロジェクト」というテーマで、普段みんなが保育室の音をどのように感じているのか率直に意見を出し合い、話し合う機会を持ちました。

そうするとかなり多くの子どもたちが「部屋はうるさい」という感想を抱いていて、どうしてうるさいのか意見を出し合うと…「みんながはしゃぎすぎているから」「人数が多いから」「走るから」などと具体的な答えが返ってきました。「なぜ走るのか?」と問うと「部屋が広いから」…「それじゃどうしたら良いのか?」と投げかけると「部屋を狭くする」とか「部屋では走らない。走るのは外だけ。」などと子どもたちなりの解決策が聞かれました。


最近、建築や音響関係、教育専門家から、施設における“騒音”環境が聴力の未発達な子ども達に聴覚や言語習得力の低下を及ぼす懸念があると指摘されるようになり、音環境の改善を進める保育施設も増えてきているそうです。音環境の悪化は子どもたちだけでなく、保育者の耳にもダメージを与え、難聴になる危険性もあります。
当面は各保育室にある天井フックを活かして”天蓋”を取り付けるなど応急の措置を講じたいと思いますが、来年度は騒音軽減素材を使った天井改修工事等の具体的な対策を考えているところです。

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