少子化対策の記事に思う【後編】  ~「不易流行」~

前回「少子化問題」に触れながら、親が安心して子どもを預けられるような環境を保障するために、我々保育者には常に「学び直し」が必要だとお話ししました。

10年20年前の教育・保育の考え方は、その後様々に形を変え、子ども理解の在り方も変わってきています。

こう言うと「今までの私たちの保育は間違っているの?」と疑問を持つ保育者もいると思いますが、「間違っている」という認識とは違うと思います。

「不易流行(ふえきりゅうこう)」という言葉があります。これは、かの松尾芭蕉が「奥の細道」の旅の中で見出した蕉風俳諧の理念の一つです。

不易流行の「不易」とは、時を越えて不変の真理をさし、「流行」とは時代や環境の変化によって更新されていく法則のことです。

「古くからの法則や方法だけに縛られていると、国や会社などは衰退してしまう。変えてはいけない部分は継承しつつ、取り入れるべきは取り入れることが組織を盤石にする。」など、経営理念等にも流用される境地でもあります。

不易と流行とは、一見、矛盾しているように感じますが、これらは根本において結びついているものであると言われています。

今風のことばで言えば「アップデート(更新)」とでも言い換えられるのでしょうか。

教育・保育の知識や考え方をアップデートするためには、やはり研修が必要です。そして、保育者がより実践的なスキルを身につけるためには、与えられる研修の機会だけでなく、主体的に学ぼうとする姿勢も大切だと思います。

当園では、保育者に子どもたちの日々の様子を、ブログ・ドキュメンテーション・写真や動画など何らかの形で、可能な限りで毎日配信するように働きかけています。

そうすることで、子どもたちの様子を丁寧に見守る習慣が身に付いたり、子どもたちが遊びの中で何を感じ、その気持ちに寄り添うためにどのような環境を作れば良いか?あるいは子どもたちの行動の意味を理解するためにはどうすれば良いか?などということを、主体的に調べ、学ぼうとする姿勢が身に付くのではと期待しています。

実はこうした考え方をするようになったのは、大阪のとある保育園の園長先生の実践に触れ、その保育方針に興味を持ったことがきっかけでした。

その園では「子どもの目線」にこだわった取り組みがなされ、圧巻は職員が毎日アップする全クラスのブログでした。子どもの目線にこだわり、活動や教育・保育の環境を考えていくという方針はとても新鮮に感じました。

園長先生のリーダーシップ、職員のチーム力あってこその体制であり、当園ではとても真似をすることは難しいと感じます。

しかし、少しでもそのような取り組みができる園に近づけるように、当園が培ってきた教育・保育をベースに、常に新しい教育・保育の知識や考え方に触れながらアップデートしていけるように心掛けたいと思います。

掲載されている内容に関する情報は、記事の掲載日現在の情報です。
その後、予告なしに変更となる場合がございます事をあらかじめご了承ください。