🎓学びの土台は、心の安定から💕✨

木々の若葉がきらきらと輝き、新緑の息吹に心弾む一方で、まるで夏が駆け足で訪れたかのような季節外れの暑さが続きます。

園庭には子どもたちの元気な声が響き、日々さまざまな遊びや関わりを通して成長していく姿が見られるようになりました。

日頃より、当園の教育・保育活動にご理解とご協力を賜り、心より感謝申し上げます。

さて、先週5月15日付の熊本日日新聞にて、ユニセフ(国連児童基金)によるOECDやEU加盟国を対象とした「子どもの幸福度」に関する最新調査の記事が掲載されました。

調査では、日本の子どもたちの「身体的な健康度」は世界1位、「学力等のスキル」では12位と大きく躍進した一方で、「精神的な健康度」は32位(対象43カ国中)と、非常に低い順位となっていることが明らかになりました。

特に若年層の自殺率の高さが指摘され、日本社会における子どもの心の問題の見過ごされやすさが浮き彫りとなっています。

近年、知能や学力といった“目に見える成果”に焦点が当たりやすくなる一方で、子ども同士の関わりや、感情を言葉で伝え合う力、誰かと協力しながら何かを成し遂げる経験といった「心の育ち」に対する関心が置き去りにされている傾向があります。

しかし、私たちが目指す教育・保育の根幹には、まさにこの「心の育ち」こそが大切であるという信念があります。

最近「〇歳までに〇〇学習を」「知育ドリルでIQアップ」などの広告が目立ち、保護者の方からも時折お尋ねがありますが、早期教育にはメリットがある反面、取り組み方によってはリスクを伴う懸念もあります。

また、アメリカの「ペリー就学前プロジェクト」という調査によると、幼児期に先取りした知識や点数の優位性は小3・小4頃になると、他の子との差が縮まる“フェードアウト現象”が見られるという結果が得られております。

※「ペリー就学前プロジェクト」

1962年から1967年にかけてアメリカのミシガン州で行われた就学前教育の実験で、足かけ40年以上におよぶ長期追跡調査により「非認知能力」育成の大切さを実証する代表例とされました。

こうした検証の結果から、幼児期の早い段階から焦って詰め込まなくても、後の環境と「もっと知りたい!」という意欲がそろえば十分に学力は伸びる可能性が高いと言えます。

むしろ自由な遊びは協調性や自己調整力を育み、将来の学力を支える大事な土台になります。

毎日に余白をつくり、外遊びやごっこ遊びを思いきり楽しませてください。

教材や習い事は「早さ」より「楽しさ」…とお子様自身の興味やペースを重視した方が効果が高いと思います。

当園では、0歳児から就学前までの子どもたちが、温かな人間関係の中で安心して過ごし、自分らしくいられることを何よりも大切にしています。

特に未満児の時期には、保育者との信頼関係を土台に、遊びや日常生活を通じて「人と関わることの心地よさ」を味わいながら、自己肯定感を育んでいます。

以上児になると、自分の思いを表現したり、友だちと考えを共有しながら遊びを広げていく中で、社会性やコミュニケーション力が自然と育まれていきます。

心が安定していることは、学びへの意欲や豊かな人間関係の基盤となります。

こうした心の育ちこそが、冒頭に上げた「子どもの幸福度」を高めていくベースになると思います。

今後も、保護者の皆さまと手を携えながら、子どもたちが安心して自分らしく過ごし、内面から輝くような成長を支えてまいりたいと考えております。

どうぞ引き続き、温かいご支援とご協力をよろしくお願い申し上げます。

〈参考にした文献・サイト〉

・「学力の経済学」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 著者:中室牧子(教育経済学者)

ペリー就学前プロジェクトの内容と効果まとめ【関連本も紹介】 | papaburo

親なら知っておきたいペリー就学前プロジェクトとは?非認知能力を鍛えよう!| アデック知力育成教室

どのような遊びの経験が「学びに向かう力」につながるのか?|ベネッセ教育情報サイト

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