保育と教育をつなぐかけ橋としての乳児期

昨日「日本教育新聞」を閲覧していると、11月3日付けで「遊びの中での体験充実など検討 施設問わず、より良い育ち保障へ」というテーマの記事が載っていました。

内容は、次回の幼保連携型認定こども園教育・保育要領の改訂へ向けて「中央教育審議会教育課程部会幼児教育ワーキンググループ(WG)と こども家庭審議会幼児期までのこどもの育ち部会保育専門委員会が、10月22日に第1回会合を開催し、遊びの中での直接的・具体的な体験の一層の充実に向けた指導と評価の改善・充実の在り方など、共通の検討事項を示した。」というものでした。

「幼保連携型認定こども園教育・保育要領」とは、小、中学校の「学習指導要領」に当たるもので、概ね10年に1回のペースで見直しが行われています。

前回の改訂が2017年だったので、今回は2027年(令和9年)の改訂へ向けての検討が始まることになります。

今回の会合においては、主に以下の「共通の検討事項」が示されたそうです。

その中心にあるのは、子どもの「遊び」を通した直接的で豊かな体験をより大切にし、0歳から小学校までの学びをつないでいくことです。

ここで大切だと思うのは「0歳から~」という部分で、我々保育所から認定こども園に移行した施設としては、未満児期の乳児保育の成果を後の幼児教育、小学校教育へと丁寧につないでいくことが最大の責務だと感じています。

「赤ちゃんは、ほっておいても自然に成長するのではないか?」

しかし、決してそうではなく、保護者や周囲の大人の関わり方次第では、「乳児保育」は子どもの成長のより大きな糧になると思います。

大人が丁寧に子どもと向き合い、気持ちを受け入れ、感情を共有することで 「自己肯定感」が育ち、その意欲的な姿勢はその後の進路や人生をより明るいものにしていくと思います。

そうした意味で、未満児期において子どもと丁寧に向かい合う保育はとても大切だと感じます。

今までのブログで随時お伝えしてきたとおり、赤ちゃんは  絶えず外界に興味・関心を向けて探索活動をする中で、身体的にも認知的にも様々なスキルを身につけていきます。

そうしたスキルを土台に、物だけではなく周囲の人にも関心が広がり、やがては子ども達同士の関係性が出来上がっていきます。

遊びの様子も一人ひとり独立した「並行遊び」から、関わりを持ちながら遊び始める「連合遊び」に進化します。

こうした体験を十分に積み重ねることが未満児期には大切で、やがて以上児期になると、より役割分担や共通の目的をもって遊ぶ「共同遊び」の段階へ移行します。

まだまだ未熟で 自我のぶつかり合いの時期ですが、そうした経験を重ねることも、自分の気持ちをコントロールしたり、他人の気持ちに気づいたり、ルールや社会性を身につける上ではとても重要になります。

もちろん子ども達の発達のすじ道やスピードは人それぞれなので、他人と比べるのではなく、我々保育者はその子ども個人の成長・発達の様子を縦に見ていく必要があります。

その上で、一人ひとりの子ども達を、集団の活動へと向かわせるように、常に単元計画や環境設定、働きかけ等を工夫していくよう心がけています。

このように乳幼児期には、その子の人生にとって大切な育ちがあります。

育みたい資質・能力に、学力ではなく「学びに向かう力・人間性等」とあるのは、そうした意味合いもあるのではと感じます。

子どもたちの育ちは、園と家庭とがいっしょに歩むことで、もっと豊かであたたかいものになります。

これからも、子どもたちの「うれしい」「たのしい」「やってみたい!」がいっぱい広がる園づくりを進めていきます。

どうぞ引き続き、あたたかいご理解とご協力をよろしくお願いいたします。

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