「モンテッソーリ 子どもの家」

園外研修として、昨日職員数名と福岡まで映画を観に行きました。映画の題名は「モンテッソーリ 子どもの家」・・・20世紀の初めにイタリア出身のマリア・モンテッソーリが考案した教育メソッドで、AmazonやGoogleの創始者など海外の錚々たる著名人をはじめ、日本においては将棋の藤井聡太プロが、幼児期にこの教育を受けていたということが話題になりました。

 

この映画の監督が、自身の子育てにおいて、子どもの行動や葛藤に対し「大人が先回りして介入した方が良いのか?子どもの自主性にまかせた方が良いのか?」という悩みを持ったことからこの教育法に興味を持ち、今回の映画製作に至ったとのことです。「教育とは知識を伝授することではなく、子どもの精神の発達を手助けすることだ」とするモンテッソーリの考え方は、この困難な時代における教育のあり方の方向性を示すものだと深く感銘を受けたとのことです。

 

映画は、フランスにあるモンテッソーリ幼稚園での子どもたちの毎日に視点を当てて進みます。でもそこは幼稚園というよりはまるで「家」・・・様々な遊具や教材の他にも、陶器やガラスの食器などが整然と棚に並べられ、ハサミやナイフ、アイロンやマッチなど、生活に必要な物まで用意されており、基本それらは子どもたちが自由に使うことが許されています。面白いのが、ここでは子どもたちの遊びのことを「仕事」と呼んでおり、本人が熱心に取り組んでいる「仕事」に、他人が干渉をしないということがルールです。
最年長が6歳なので危なっかしい場面も出てきます。時には運んでいた水をこぼしたり、アイロンでやけどしそうになったり・・・でも、そこにいる教師は一切手助けをしません。最後まで自分一人で対処するか、子ども同士で解決するかです。

 

例えばリンゴを調理具でカットする場面では、リンゴが大きすぎてなかなかカットできなくても、他人の力を一切借りることなく、最後は見事にカットします。やり遂げた後の子どもの表情は仕事を終えたプロフェッショナルのそれです。😄
このように、子どもの自主性に任せている毎日ですが、実は教師は一人ひとりの様子を注意深く見守り、成長の芽が見られる瞬間には、すかさず助言をしたり環境を整えたりするのです。よく「自主性」に任せて自由にさせることを「放任」と誤解される場合がありますが、このあたりがさすがに教育のプロだなと感心しました。我々も是非こうした姿勢は見習いたいと思うところです。

 

と言うことで、日々の教育・保育において、実に考えさせられることが多い映画でした。保護者の方々も、この映画を観られると、子育てにおける何かのヒントが得られるかも知れません。ただ、この映画は残念なことに熊本では上映されておらず、福岡まで足を運ぶ必要があります。余裕がおありであれば、是非ご覧いただければと思います。

 

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